【自宅売却物語第九話|売買契約と住宅ローン特約。ここからはもう後戻りできなかった】

内覧が終わり、
買い手が決まった。

売り出しから、わずか2週間。
あまりにも早い展開に、
少し現実感が追いついていなかった。

でも、不動産会社から
「次は売買契約に進みます」と言われた瞬間、
空気が変わった。

ここから先は、
もう“検討”ではない。
契約だ。


売買契約は「覚悟」を固める場だった

売買契約の日。
机の上には、分厚い書類の束が並んでいた。

専門用語が並ぶ契約書。
重要事項説明書。

一つひとつ説明を受けながら、
私は何度も頷いたけれど、
心のどこかで緊張していた。

この書類に署名するということは、
この家を手放すことが、正式に決まるということだからだ。


手付金が入るという現実

契約が成立すると、
買主から手付金が支払われる。

金額としては、
売買価格の一部にすぎない。

でも、このお金が動いた瞬間、
すべてが現実になる。

「決まりましたね」

不動産会社のその一言が、
胸にずしんと響いた。


住宅ローン特約という“安全装置”

売買契約には、
住宅ローン特約が付いていた。

これは、
買主が住宅ローンの審査に通らなかった場合、
契約は無条件で白紙に戻る、という特約だ。

この特約があることで、
買主は安心して申し込みができる。

売主側としても、
よくある条件だと思う。

でも、
逆に言えばこういうことでもある。


ローンが通れば、もう戻れない

住宅ローン特約があるのは、
ローン審査が通るまで

審査が通ったと連絡が来た瞬間、
契約は完全に成立する。

そこから先で
「やっぱりやめたい」
と思っても、簡単には引き返せない。

もし売主側の都合で契約を解除するなら、
違約金や損害賠償が発生する。

つまり、
この契約は
人生の方向を決める契約でもあった。


ローン審査の結果を待つ時間

買主の住宅ローン審査が進んでいる間、
私は落ち着かない時間を過ごしていた。

無事に通ってほしい。
でも、通ったら通ったで、
本当にこの家とお別れになる。

安心と寂しさが、
同時にやってくる。

そんな不思議な感情だった。


「審査が通りました」の連絡

不動産会社から電話が入った。

「住宅ローン、無事に通りました」

その一言で、
すべてが決まった。

ほっとした気持ちと、
胸の奥がきゅっとなる感じ。

この家は、
もう私たちのものではなくなる。


次に考えなければならない現実

契約が成立すると、
次に待っているのは引き渡しだ。

その前に、
やらなければならないことが一気に増える。

  • 自分たちの住む場所を決める
  • 賃貸物件を探す
  • 引っ越しの準備をする
  • ライフラインの手続きをする

売却が決まった安心感に浸る暇は、
正直あまりなかった。


それでも、この選択でよかったと思えた理由

ここまで来て、
「早く売れすぎたかもしれない」
「もっと高く出せたかもしれない」
そんな欲が出なかったのは、
価格について徹底的に考えたからだと思う。

納得して決めた価格。
納得して選んだ相手。

だからこそ、
契約後にブレることはなかった。


契約はゴールではなく、通過点

売買契約を終えて思った。

これは終わりではない。
生活を組み替える作業の、通過点だ。

この家を手放すことは、
失うことではなく、
次に進むための選択。

そう思えるようになっていた。


次回は、
引き渡しと引っ越し。
そして、売却後に待っていた新しい暮らし
について書こうと思う。

自宅売却の物語は、
いよいよ最終章へ向かう。

——続きます。

自宅売却シリーズのまとめはこちら

▶︎第十話はこちら

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この記事を書いた人

菊池百合子|50代・飲食店経営・海と山のある地方都市在住
家を手放して暮らしを再設計し、
50代からのお金・不動産・介護・働き方を整えてきた生活者です。
不動産売却の実体験、介護と仕事の両立、NISAや高配当株の運用など、
「人生後半を軽やかに生きるヒント」を等身大で発信しています。

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