広告を出してから、
それほど時間はかからなかった。
一週間もしないうちに、内覧の申し込みが2件入った。
正直、少し驚いた。
でも同時に、
「値付けと見せ方は間違っていなかったのかもしれない」
そう感じた。
そして、
ここからが本当の勝負だった。
内覧は、ただ家を見せる場ではない
内覧というと、
「家を見てもらうだけ」
そんなイメージを持っていた。
でも実際は違った。
内覧は、買うかどうかを決める場。
いわば、クロージングの場だ。
だから私は、
内覧を“作業”ではなく、
大切な人を迎える時間だと考えることにした。
まず徹底したのは「掃除」
内覧が決まってから、
最初にやったのは掃除だった。
特に水回り。
キッチン、洗面所、トイレ。
仕事もしながら、
限られた時間の中で完璧を目指すのは正直大変だった。
そこで、
家事代行サービスを頼むことにした。
もちろんお金はかかる。
でもこれは「出費」ではなく
売却のための投資だと思った。
結果として、
家中がピカピカになり、
自分自身も気持ちよく過ごせた。
「におい」は想像以上に大事だった
掃除と同じくらい、
気を遣ったのがにおいだ。
人は無意識のうちに、
においで印象を判断する。
掃除のあとは、
消臭スプレーで生活臭をしっかり消した。
そのうえで、
ほんのりアロマを焚いた。
目指したのは、
ホテルのロビーのような、
清潔で落ち着く空気感。
やりすぎないことも、
意識したポイントだ。
迎え方は「友達を招くように」
内覧当日。
私は緊張していたけれど、
意識的に力を抜いた。
営業トークはしない。
売り込まない。
友達が遊びに来てくれたときのように迎える。
それだけを心がけた。
まずは、
家全体を一緒にぐるっと見て回る。
- こだわったポイント
- 収納の使い方
- 実際に暮らして感じた「楽なところ」
事実を淡々と、
でも丁寧に伝えた。
質問には、正直に答える
内覧では、
必ず聞かれる質問がある。
「なぜ、9年で手放すんですか?」
ここで、
余計な感情を乗せる必要はない。
私は、
「ライフプランの変化です」
とだけ答えた。
それ以上は踏み込まない。
でも、嘘もつかない。
正直さは、
相手に必ず伝わると思っている。
あえて「悪い点」も伝えた
いいところばかりを並べると、
かえって警戒される。
だから私は、
あえてマイナス面も伝えた。
たとえば、
子どもが小さい頃についた床の傷。
「こういう傷はあります」
そう正直に話した。
すると多くの場合、
「子育てしていたら、仕方ないですよね」
という反応が返ってくる。
隠さないこと。
それが、
信頼につながると感じた。
数字ではなく「暮らし」を語る
内覧の後半は、
座ってお茶を飲みながら話をした。
この時間は、
スペックの説明ではなく、
暮らしの話を意識した。
- 朝の光の入り方
- 鶯の鳴き声が聞こえること
- 近所の飲食店の話
- 駅が近くて便利だけど、意外と静かなこと
ここで初めて、
買う側は
「ここでの生活」を具体的に想像し始める。
内覧は、感情で決まる
住宅購入は、
人生で最も大きな買い物のひとつだ。
最後に背中を押すのは、
数字だけではない。
この人から買っても大丈夫か。
この家で、幸せに暮らせそうか。
内覧とは、
その感情を確かめる時間なのだと思う。
そして、電話が鳴った
内覧が終わったその日の夕方、
不動産会社から電話が入った。
「3980万円から、
80万円下げてもらえませんか?」
想定内だった。
もともと、
査定より200万円高く設定している。
3900万円で決まるなら、
十分すぎる結果だ。
私は、その条件を受けることにした。
売り出しから、わずか2週間
こうして、
売り出しからわずか2週間で
買い手が決まった。
早すぎる決着に、
拍子抜けする気持ちもあった。
でも同時に、
「ここまで考えてきてよかった」
という安堵感もあった。
内覧は、
偶然ではない。
準備と設計の結果だと、
今ならはっきり言える。
次回は、
売買契約と住宅ローン特約。
ここから後戻りできなくなった瞬間について書こうと思う。
自宅売却は、
いよいよ最終フェーズに入った。
——続きます。
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