【自宅売却物語第四話|同じ家なのに査定額が1000万円違った理由。買取と仲介の決定的な差】

机上査定の結果が出そろったとき、
私は正直、目を疑った。

同じ家、同じ条件なのに、査定額に1000万円もの差があったからだ。

最初は単純に、
「高く出してくれた会社がいい不動産屋」
「安いところは避けた方がいい」
そう思いかけた。

でも、少し冷静になって各社の説明を読み返していくうちに、
その考えが間違っていることに気づいた。


なぜ、こんなに差が出るのか

査定額が大きく違った理由は、
家の価値が違うからではなかった。

不動産会社の“立場”が違っていたのだ。

大きく分けると、
不動産会社には2つのタイプがある。

  • 自分たちが家を買い取る「買取専門」
  • 一般の買主を探す「仲介業者」

この違いを理解したことで、
1000万円差の正体が見えてきた。


買取は「早い」。でも安い

買取専門の不動産会社は、
その会社自身が買主になる。

メリットは、とにかく早いこと。
内覧もほぼ不要で、
条件が合えばすぐに現金化できる。

相続や離婚、
とにかく急いでお金が必要な場合には、
とても合理的な方法だと思う。

ただし当然、
買い取った後に再販売して利益を出す必要がある。

その分、
どうしても価格は低くなる。

私が見た査定額の中で、
最も低かった金額は、
この「買取」を前提にしたものだった。


仲介は「時間がかかる」。でも高く売れる可能性がある

一方、仲介業者は、
市場で一般の買主を探してくれる。

広告を出し、
内覧をして、
条件の合う人とマッチングする。

その分、
売れるまでに時間がかかることもある。

でも、
売主の立場に立って価格を最大化しやすいのが仲介だ。

私が「これはしっかりしている」と感じた会社は、
査定額だけでなく、

  • 近隣の取引事例
  • 地価の推移
  • 築年数と価格の関係
  • 今後の市場動向

こうしたデータをきちんと示してくれていた。

「この価格には、こういう理由があります」
そう説明されると、
素人の私でも納得できた。


高い査定=良い不動産屋、ではない

ここで一つ、
とても大事なことに気づいた。

査定額が高い=誠実、とは限らない。

中には、
「とりあえず高い金額を出して契約を取りたい」
そんな姿勢が透けて見える会社もあった。

実際に売り出す段階になって、
「やっぱりこの価格では厳しいですね」と
値下げを迫られるケースも少なくないらしい。

私は、
最初から現実的な数字と根拠を示してくれる会社の方が、
よほど信頼できると感じた。


私が「仲介」を選んだ理由

私の場合、
すぐに現金化する必要はなかった。

住宅ローンは残っているけれど、
なんとか回っている。
時間をかける余地はあった。

だから、
「早さ」よりも「納得感」を優先した。

結果として、
データと説明が丁寧だった
2社の仲介業者に絞ることにした。

どちらも机上査定の段階から、
売却の流れやリスクまで説明してくれていた。

この時点で、
「どこに売るか」ではなく、
**「誰と一緒に進めるか」**を重視するようになっていた。


知識がないままでは、判断できなかった

もし、
買取と仲介の違いを知らなかったら。

もし、
最初に提示された金額だけを見て判断していたら。

私はきっと、
1000万円安い選択をしていた可能性がある。

家を売るというのは、
人生の中でも大きなお金が動く決断だ。

だからこそ、
「知らない」という状態のまま進まなくてよかったと、
心から思っている。


次回は、
実際にどの不動産会社と契約したのか。
そして、
媒介契約の種類と、囲い込みを避けるために考えたことを書こうと思う。

自宅売却は、
運ではなく、
選択の積み重ねだと感じ始めたのは、
この頃だった。

——続きます。

自宅売却シリーズのまとめはこちら

▶︎第五話はこちら

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この記事を書いた人

菊池百合子|50代・飲食店経営・海と山のある地方都市在住
家を手放して暮らしを再設計し、
50代からのお金・不動産・介護・働き方を整えてきた生活者です。
不動産売却の実体験、介護と仕事の両立、NISAや高配当株の運用など、
「人生後半を軽やかに生きるヒント」を等身大で発信しています。

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