― 知識ゼロの私が実際に家を売ってわかった“損しない売却方法”
【第1話】暮らしを軽くするために、自宅を手放す決意
はじめまして。菊池百合子と申します。
地方都市で飲食店を営みながら、家族と暮らしています。
仕事、子育て、そして夫の介護。
日々を支えることに精一杯で、「このままでいいのだろうか」と立ち止まることもありました。
■ 夫の病と家計の変化
数年前、夫が難病を患い、働けなくなりました。
そこから生活のリズムも家計の形も大きく変わりました。
介護の時間が増え、仕事のスタイルを変えざるを得ず、
収入と支出のバランスが一気に崩れていったのです。
それまで当たり前のように払っていた住宅ローンや税金、
光熱費や修繕費が、じわじわと重く感じられるようになりました。
単に「お金が足りない」という問題ではなく、
今の暮らし方そのものを見直す必要があると感じ始めました。
■ 9年前に建てた「理想の家」
私が家を建てたのは、9年前。
地方都市で、大手ハウスメーカーの注文住宅を選びました。
間取りから壁紙、照明まで、すべてを自分で選んだ、いわば夢のマイホームでした。
家族の思い出が詰まっていて、
四季の移ろいを感じるたびに「この家を建ててよかった」と思ってきました。
けれど、年月を重ねるうちに、
“守る対象”だった家が、いつの間にか“抱える負担”に変わっていたのです。
固定資産税、外壁の補修、庭の手入れ。
どれも少しずつ心と時間を奪っていきました。
■ 「持たない暮らし」に向けて
飲食業という仕事柄、常に変化への対応が求められます。
けれど、家という“動かない資産”があることで、
どこかで自分の可能性を狭めているように感じていました。
「もし家を手放したら、暮らしはどう変わるだろう?」
そんな問いをきっかけに、
不動産売却という選択肢を現実的に考えるようになりました。
ローンの残高、相場、手続きの複雑さ──
最初はわからないことばかり。
けれど、数字と向き合い、情報を集めるうちに、
不安よりも“次に進みたい気持ち”の方が強くなっていきました。
■ 手放すことは、諦めることではない
家を売るという決断は、
単なる経済的判断ではなく、**“生き方を整える”**という行為でした。
所有を減らすことで、頭の中まで軽くなる。
守るものを減らすことで、自由に動けるようになる。
手放すということは、何かを失うことではなく、
**「これからを生きやすくするための準備」**なのだと気づきました。
■ このシリーズで伝えたいこと
私は不動産の専門家ではありません。
知識ゼロの状態から、実際に家を売った一人の生活者です。
この経験を通して学んだのは、
**“専門知識がなくても、正しい選び方さえ知っていれば損をしない”**ということ。
このシリーズでは、私自身が体験した不動産売却の流れを、
10回にわたってリアルに記録していきます。
[今後の予定]
1️⃣ 売却を決意した理由(今回)
2️⃣ 不動産会社の選び方
3️⃣ 査定でわかった「1000万円の差」
4️⃣ 内見準備と“見せ方”の工夫
5️⃣ 買い手との出会い
6️⃣ 価格交渉と心理戦
7️⃣ 契約までの流れ
8️⃣ 引き渡しと新しい暮らし
9️⃣ 売却後に見直した家計と資産
🔟 売ってみてわかった「暮らしと自由」の関係
■ 次回予告
第2話は「不動産会社をどう選んだか」。
同じ家でも査定額に1000万円の差が出た理由を、
実際の体験をもとにお話しします。

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