確定申告をしながら、見つけてしまったもの
毎年のように、確定申告の時期になると
1年分のカード明細をまとめて確認します。
その頃、夫の具合が悪くなりかけていて、
私は仕事と家事と介護を同時に抱えていました。
正直、毎日をこなすのがやっとで、
細かなことまで目が届いていなかった時期です。
その夜、ふと夫名義のカード明細に
「任天堂〇〇ショップ」という見慣れない項目がいくつも並んでいるのを見つけました。
金額を足すと、合計で約12万円。
頭の奥が薄く痛むような、
体のどこかがスッと冷えていくような感覚がありました。
「これは…子ども?」
そう思った瞬間、胸がきゅっと苦しくなりました。
【子どもに聞いた日】あっさりとした「…うん」
なるべく落ち着いて、子どもに聞きました。
「ゲームに課金した?」
「……うん」
その答えは拍子抜けするほどあっさりしていて、
逆に私の中の感情が一気に溢れました。
夫の病気。
仕事の責任。
家事と介護の終わらない毎日。
全部を必死に抱えている時期でした。
悲しさ、情けなさ、やるせなさ。
怒りよりもその3つが混ざって、
気づいたら泣きながら怒っていました。
【限界だった自分】カード管理の甘さと“見えない課金”
これは私の管理の甘さでもあります。
夫のカードには、
店で使う消耗品や光熱費も多く紐づけていました。
引き落とし額だけは追っていたものの、
明細まで細かく見ていなかった。
子どもも
夫のクレジットカードを写真に撮ったり、
夫のiPadに紐づいていたカードをそのまま使ったり、
方法はいくらでもあったようです。
「ネット上のアイテムは目に見えない」
「買った後も家族に伝わりにくい」
これは親にとって本当に盲点なんです。
【家を出た夜】距離を置くための小さな“家出”
気持ちの整理ができず、
私は一時的に家を離れました。
ホテルに一晩だけ避難して、
静かな部屋で深呼吸して、
自分の中の混乱を落ち着かせる時間が必要でした。
限界がくると怒鳴ってしまう。
でも、怒りの言葉では何も伝わらない。
距離を置くことは、逃げではなく
“整える戦略”だったと思っています。
【外部に頼る決断】青少年サポートセンターへ
翌日、警察に相談しました。
事情を話すと、
「青少年サポートセンター」という部署で
こういった問題に対応していると案内されました。
数日後、子どもと一緒にセンターへ。
親子は別々の部屋に入り、
担当の方が丁寧に事情をヒアリングしてくれました。
・何をしたのか
・どれくらい課金したのか
・どうやって課金したのか
・どんな気持ちだったのか
・繰り返さないためにどうするのか
無断課金をした子どもは珍しくないようで、
ゲーム依存やネットトラブルの危険性について
専門的な言葉で説明してくれました。
「親だけで抱え込まなくていい」
そう思えた瞬間でした。
【全5回の面談】“怒る”ではなく“向き合う”ということ
私たちはその後、5回ほどセンターに通いました。
子どもがどこまで理解したのかは、
見た目ではわかりません。
でも、
“家族であっても、やってはいけないことがある”
その線引きだけは、確実に伝わったと思います。
そして、私は子どもにこう約束させました。
「課金した12万円は、大きくなって自分で稼げるようになったら必ず返すこと」
この約束には、
お金の問題以上に
“自分の行動に責任を持つ”
という意味がありました。
【家族の再生】少しずつ、役割を取り戻していく
事件のあとは、
子どもと料理をしたり、
お風呂掃除を彼の日課にしたり、
家族の一員としての役割をゆっくり戻しました。
怒りではなく、
距離を置き、
外部と連携し、
それでも“家族として向き合い続ける”。
このプロセスこそが、
あの出来事が私たちに残してくれた
一番の学びでした。
何があってもあなたの事は大切。でも、ダメなものはダメ。
子どもが無断で課金した12万円は、
今も我が家の小さな教訓として生きています。
何があってもあなたのことは大切。
でも、
“やってはいけないことは、家族でもやってはいけない”。
その線引きを示すのは、
親としての大事な役割だと思っています。
あの時、外部に頼りながら、
逃げずに向き合った自分を
今では少し誇りに思っています。
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