「この家、売ろうと思うんだけどどうかな」家族で決めた手放し方|自宅売却物語 第2話

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自宅売却について息子にもちかける

「この家、売ろうと思うんだけどどうかな」


ある夜、夕食のあとにそう切り出しました。

ずっと心の中では決めていたけれど、
息子にどう伝えようかは何度も考えていたんです。

お父さんの介護のこと、住宅ローンのこと、これからの暮らしのこと、
そして何より、あなたの進学資金のこと
どれも現実的な理由だけど、
それは“我慢”や“諦め”じゃなく、家族の未来を整えるための選択

私にとっても簡単な話ではありませんでした。
けれど、無理を続けてこの家を守るより、
もう少し身軽になって未来を明るいものにしていきたかったのです。

息子は少し黙ってから、
「ふーん、俺は嫌だな」とひとこと。

その言葉を聞いて、やっぱり胸がきゅっとしました。
でも、正直に言ってくれたことが嬉しかった。
本音を話せる関係でいたいと思っていたから。


家族と一緒に“これから”を描く

それからは無理に自宅売却の話はせずに
休日に一緒にネットでスーモの賃貸物件を見ました。
「ここ駅近くていいね」「この間取り広くない?」なんて、
まるで旅行の計画を立てるように、新しい生活のイメージを膨らませていきました。

そうやって“次の暮らし”を想像しているうちに、
息子の中でも少しずつ気持ちが変わっていったように思います。
「ここならコンビニも近くていいね」「このエリアだと学校に通いやすいな」
そんな言葉を聞いた時、あぁ、大丈夫だなと感じました。


家は、ただの建物じゃない、心の拠り所

家は単なる建物ではなく、
その人の生き方や選択を反映する“暮らしの器”だと思うようになりました。

持ち家であっても、賃貸であっても、母がいる場所があなたの実家。
たとえ進学や就職で家を出たとしても、いつでも帰ってこられる“母の部屋”がある。

そう伝えると、息子は穏やかに笑って、、
「わかった」とだけ答えました。

その一言で、私の中の迷いがすっと軽くなりました。
住む場所が変わっても、暮らしの軸は変わらない。
そう思えた瞬間でした。

家族で決めた“納得のかたち”

最終的に、売却も引っ越しも、
すべて家族で話し合って決めました。
「売る」という選択をみんなで受け止め、
それぞれが納得できる形で進めたからこそ、
今の暮らしを心から楽しめています。

家を手放すことは、
後ろ向きなことではなく暮らしを整えること
“どこに住むか”よりも、“どう生きるか”を選ぶこと。

この経験を通して、私はそれを実感しました。


✨あとがき

家を売る時、「どうやって家族に話そう」と迷う人は多いと思います。
でも、焦らなくて大丈夫。
正直に話し、時間をかけて寄り添えば、
ちゃんと“家族の答え”は見えてくる。

その過程こそが、次の暮らしの準備期間になるんだと思います。


💡次回予告(第3話)
→「査定額に10社の差。見積もりサイトでわかった“価格のカラクリ”」
いよいよ現実的な売却活動が始まります──。


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この記事を書いた人

菊池百合子|アラフィフ女将。
飲食店経営と介護・子育てをしながら資産形成に奮闘中。
不動産・投資・副業など、「人生後半から整えるお金と暮らし」をテーマに発信しています。

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